WOCNブログ

今年最後の投稿

今月上旬、講師に安部正敏先生をお招きして、
「褥瘡診療新アベノミクス!~キズを治すための3本の矢~」と題して公開講座を開催しました。
アベノミクス「新3本の矢」とは、
・希望を生み出す褥瘡理解
・夢を紡ぐ外用薬
・安心につながる評価担保の矢
として、それぞれポイントの解説がありました。

「皮膚の一定部位に持続的圧迫が加わり、皮膚の血流が途絶え、皮膚が壊死に至った状態」が褥瘡発生のメカニズムであり、骨突起部に加わる圧力は、「目に見える皮膚部分より、見えない深部の軟部組織の方に大きな力が加わっており、血行障害を生じ易い」
急性期褥瘡の深さは不明であり、徐々にハッキリしてくるのはこのため。
「褥瘡発生過程とともに、創傷治癒過程を理解することで、生体が有する治癒機構を最大限引き出す努力が必要」とのこと。
今、何が起きているのか理解ができると、ケアをするのも一層楽しくなってくると思っています。

「外用薬は、薬効だけを捉えるのではなく、基剤の特性を考え、創面の状態に応じた使い分けをすることが重要である」
院内採用している外用薬は一部の製品だけなので、難しいかもしれませんが、
基材と状態があったものを使用することが大事なのです。
それには、日頃から良く観察すること、医師に報告していくことが必要ですね。

「創及び創周囲皮膚状態は、乾燥しているのか浸軟しているのかを観察する。」
「ドレッシング材では、滲出液で汚染されている面積や、漏れがあるかどうかを観察する。」
当院では外用療法がメインなので、非固着性のガーゼを使用していますが、ガーゼの裏を必ず観察し、塗布する量やガーゼの大きさ、交換回数が適切であるか、評価をするように指導しています。

アンケート結果では、観察についての理解が深まったといった記載が1番多く、
開催して本当に良かったと思いました。
褥瘡ケアは観察に始まり観察に終わるのです。
あたりまえの簡単なことが、案外疎かにされてしまう傾向にあるので、
楽しさを実感してもらえると本当に嬉しいですね。

 

*やまなみホールとホワイエから見える景色

主催者側としての参加で感じたことは、講演全体のイメージが、湧き水がやがて河川になり、大海に流れるよう。
心地よい流れが続き、気が付くと湖や大海原に流れてきたという感じかな。
全国で講演をされているので、いくつもの流れがあり、最終的に同じところへ辿り着いているはず。
安部チルドレンが誕生しているんだろうなぁ~と思いました。

いつもありがとうございます。   WOCN  ふりはた

今年の投稿はこれでおしまい。来年もよろしくお願いします。