精神科ブログ

令和2年度PTSD対策専門研修B(専門コース)に参加

 12月3日~4日、国立精神・神経医療研究センター主催のPTSD(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修(オンライン)に参加しました。2日間の講義内容は、PTSDの診断と評価、PTSDの心理療法、複雑性悲嘆の心理療法、薬物療法、支援者支援といった内容であり、どれも興味深いものでした。

 重大な危機に直面した後に続く恐怖心や、大切な人を亡くしたあとの悲嘆、哀しみを、自分のその後の人生のなかでどう意味づけ、再び歩んでいくのか、そのプロセスを共に歩んでいくという姿勢が心理職としては、最も求められているところなのだと感じました。また、薬物療法に関する講義のなかで、PTSDの治療において第一選択とされるのは心理療法であるというエビデンスがあるとのことであり、難しいPTSD症状のある患者さんのケアにおいて私たちの技術が問われるところであることも痛感しました。有効性が証明されているセラピーの方法がある程度体系化されており、今回の研修でも学ぶことができましたので、今後も講義内容を何度も繰り返し読み返しながら実践に役立てていきたいと思います。

 また、オンライン形式で研修に参加するのは今回が初めてで、それ自体も良い経験となりました。講義の一部はビデオ視聴ができ、質問もチャット形式で送信できるなど、会場での講義と比べての不都合はまったく感じませんでした。数日にまたぐ研修を県外で受講するには色々な調整が必要ですが、そういったことも気兼ねなく受講することができました。今年はオンラインということもあり例年の2倍の数にあたる200人ほどの参加人数であったようです。コロナ禍ではありますが、こういった学習の機会が得られることはありがたく、またオンライン研修ならではの良さも実感できました。
開催にあたっては、事前から当日までの主催事務局の丁寧な説明や迅速な対応も素晴らしく、内容も含めて、この研修に参加をする機会をいただけたことはありがたかったです。得られた知見を、自分の力量を考えながら、日々関わり合っていく患者さんに還元していきたいと思います。

心理療法科  吉野 諭美子