精神科ブログ

実習 2018年1月9日~2月1日

精神科実習

信州大学5年 江口 万城

 

この1ヶ月間の実習で精神科の様々な疾患を診ることができ、医療専門職や地域の包括的なサポート体制についても学べ、充実した楽しい日々を過ごせました。

 

私が一番印象に残っているのは、毎日外来で予診を取らせていただいたことです。精神科特有の項目として、日々の生活の様子、生活史、病前性格、趣味なども患者さんにお話ししていただきます。また、同時に患者さんの歩行の様子、整容、話し方、表情の変化なども観察します。ご家族と来院されている時には、別々に話を聞き、話が一致しているかの確認や、それぞれの考え、望むことの把握をします。そして、鑑別疾患を挙げ絞っていき、さらに必要な項目の聞き取りやMMSEなどの検査をしていきます。30分の予診の中でこれらのことを適切にスムーズにやっていくということの難しさを感じました。

予診の後、本診に同席させていただきました。症状から自分なりに考えた鑑別疾患が足りなかったため、鑑別するにあたり重要で聴取できなかった項目があることに即座に気づくことができ、次の予診に生かせました。また、本診での先生方の患者さんへの説明の方法はおのおの個性が出ていて、分かりやすい言葉での説明の工夫や安心感のもてる口調など、多くのことが参考になりました。例えば認知症の薬が処方され約10年が経過し、抗認知症の効果があまり保たれていない可能性のある患者さんの診察で、認知症の徘徊などの症状への対処に関して、ご家族の負担を聞きデイサービス・ショートステイなどのサポートの調整を提案し、鎮静薬の副作用などを説明し、最終的に家族の望むところは何かを聞いていくという場面がありました。信頼関係を構築しながら傾聴して今後のことを一緒に考えていく過程を見ることができました。

本診の後、鑑別疾患を挙げて診断を確定する過程や、疾患に特徴的な症状などを先生方が教えてくださりました。症状が似ていて合併もありうる高齢者のうつと認知症の鑑別や、疾患概念が確立されていない所があるため、うつ病、適応障害、パーソナリティ障害、躁うつ病の鑑別など、非常に困難な場合が多いということを何度も痛感したように思えます。

 

病棟での実習では、患者さんやそのご家族の退院後の不安を傾聴し、行き詰った時に気軽に相談できる場所として病院を利用していただくことや支援サービス等の利用を提案する場面に、度々遭遇しました。精神科では退院だけが目標でなく、患者さんが退院後安心して生活ができるかが重要であると感じました。デイサービスの見学では、より豊かな地域生活を目指している実際の様子が分かり、様々な専門職によるサポート体制についても学べました。

 

最後になりますが、精神科の先生方を始めとしてこの1ヶ月間お世話になりました皆様に厚く御礼申し上げます。今回の経験を活かしながら、温かい医療が提供できるように日々励んでいきたいと思います。