精神科ブログ

実習 2017年10月2日~10月26日

精神科実習感想 (2017/10/2~10/26

 「今までの実習とは、きっと全然違う景色がみえてくるよ?」

私にこの病院での実習を進めてくださった先輩方が口をそろえておっしゃっていた言葉でした。今回が私にとって大学病院以外の病院での初めての長期実習だったこともあるかもしれませんが、今までの実習で気付きもしなかったことにたくさん気付かせてもらえた実習でした。この感想文ではその学びや気づきについて書いていければと思います。

実習では初診の患者さんの予診や、入院している担当患者さんの話を聞くことが主となり、メンタルケアセンターや支援会議を見学させていただいたり、症例検討会やカンファレンスに参加させていただきました。

実習で初診の患者さんの予診を取らせてもらう機会は他の病院ではなかなかないためいい経験になると噂にはきいていましたが、評判通りとてもよい勉強の機会を与えていただけたように思います。今までは診断が予めついた患者さんを受け持たせていただくことが多かったのですが、事前情報をカルテで確認し外来の看護師さんの印象や先生がたのアドバイスを参考に鑑別に必要な質問や取るべき所見を考えるのは、普段とは違った頭の使い方が必要で新鮮で難しくも今後につながるよい経験となりました。加えて予診の後に様々な先生方の診療の様子を見せていただいたことも、精神科では特に患者さんとの関わりが治療に直結することもあり貴重な体験でした。自分が予診で実際にお話しした患者さんと先生方がどんな風にお話ししていてどんな風に関係性を気付いていくのか、私がうまく聞き出せなかった情報を先生方がどんな文脈で・どんな言い回しで聞き出しているのかをみて次の予診や今後の自分の問診にどう活かしていくかを絶えず考えることができ少し成長できたように思います。見学しているうちに気づいたのは―巧みな話術で患者さんを鼓舞したり、あえて友人のような距離感で語りかけてみたり、逆に距離を置いて淡々とした態度をとったり、丁寧に患者さんの話を傾聴したり等と―様々なスタイルの先生が様々な関わり方をしていることに気づきました。自分の得意や苦手をみつめ、今後どのような診療スタイルが自分にあっているかについても今後考えていきたいです。

また、今まで実習で関わる機会がなかった介護・福祉関係の人たちの関わることができたのも良かったと思います。MSWさんに協力していただきつつ認知症疑いの患者さんの予診をとったり、介護認定の審査を見学させていただいたりを通して、通院が継続できる状態を維持したり、退院後の環境を整備したりと患者さんの普段の生活をよりよいものにするためには書類の整備や調査など複雑な手続き必要であることや私が思っているよりずっと多くの人たちが尽力していることが解りました。そして普段の実習では診察室でのお話しや入院時の患者さんの様子などといった病院で垣間見る患者さんの一面にばかり気をとられて、その人の仕事や生活、生きがいなど患者さん自身を見ていなかったことを痛感しました。今後は患者の症状や診断、急性期の治療に固執せず、緩解後や退院後の患者さんが穏やかに過ごすためにはどうすればよいかに目を向けていきたいです。

思い返せば実習中どうしようと困ったとき、やってみたいけど自信がもてないときなどにはいつもその場にいた病院スタッフの誰かが手を差し伸べ、相談にのってくださいました。至らない点ばかりの私が無事実習を終えることができ、たくさんのことを学ぶことができたのは一重に実習中お世話になった病院職員の皆様があってのことだと思います。この場を借りて簡単ではなりますが深謝申し上げます。

 この病院で過ごしたこと、そして得たものを忘れずによりよい医療者を目指し日々努力をつづけていきたいと思います。

                         信州大学5年生 山村 結衣