内視鏡室

内視鏡室は新病棟1階北側に位置しています。午前中は外来・病棟患者さんとドック検診の皆様の上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を、午後は下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)、内視鏡治療を行っています。
当院は、下記の指導施設認定も取得しており、消化器内視鏡治療の中核病院としての役割も担っております。
・日本消化器病学会 専門医制度 認定施設
・日本消化器内視鏡学会 専門医制度 指導施設
・胆道学会 指導施設

胃の検査(胃カメラ)

上部消化管内視鏡(胃カメラ)とは、食道、胃、十二指腸の病気の診断・治療には欠かせません。検診における発見率はバリウム検査の3倍といわれています。当院では月曜日から土曜日(第1.3土)の午前中に毎日20~30件行っています。

〇 苦痛の少ない内視鏡検査

  1. 眠り薬(いわゆる麻酔)の使用内視鏡検査における偶発症の中で眠り薬に起因する事例は決して少なくありません。当院では安全を第一に考慮し、全例一律の眠り薬使用は行っておりません。ですが、日本における胃癌で亡くなる人数の方が眠り薬による偶発症を来す人数よりも圧倒的に多いです。苦しいからと内視鏡検査をためらっている方は是非ご相談下さい。ただ、検査を受けた当日は1日注意が散漫になったり眠くなったりしますので、安全を考慮し当日は車の運転は出来ません。ご家族に迎えに来ていただくなど手配をお願いします。ご希望の方は検査予約の際ご相談ください。
  2. 極細径内視鏡の使用当院では検査目的によって、内視鏡の太さ9mm程の通常内視鏡のほか、5mm程の極細径内視鏡も使用しております。極細径内視鏡での鼻からの挿入(経鼻内視鏡)も行っており、経口内視鏡より嘔吐反射は少なく検査中に会話もできます。ご希望の方は検査予約の際ご相談ください。

〇 精度の高い検査

  1. 拡大内視鏡検査特殊な内視鏡を用いて顕微鏡のように85倍に拡大して観察することができます。組織採取すると内視鏡的切除に悪影響を与えかねる部位(食道や十二指腸)では組織採取せずに拡大観察することによって癌かどうかの判断や癌の範囲・進行度を予測することができます。
  2. 特殊光(画像強調)観察狭帯域光観察(NBI)など特殊光観察は、見たままの所見(通常光観察)では見えにくかった癌などの早期病変の観察に有用であり、拡大内視鏡観察を併用することにより診断精度が向上します。

〇 胃癌について

医学が進歩した現在でも胃癌を治すには切除が最も有用な治療法です。胃癌の切除術には『外科手術』、『腹腔鏡下手術』、『内視鏡的手術』などがあります。『内視鏡的切除』は、おなかに傷がつかず、胃の機能が保て、手術前と同じように食事が取れます。入院日数も比較的短期間で退院できます。しかし、胃癌が進行してしまうと胃の外に癌細胞が流れてしまい(転移)内視鏡切除では根治(治癒)できません。症状がなくても定期的に内視鏡検査を受け胃癌を早期診断することは大切です。

 

〇 ピロリ菌について

胃癌の多くはピロリ菌感染による慢性胃炎が癌発生母地になります。ピロリ菌は幼少期に感染するため、成人してから除菌しても胃癌の発癌率はある程度下がりますがゼロにはなりません(約半減)。定期的な内視鏡検査をお勧めいたします。

胃が痛い・違和感、胃もたれ、食欲不振、食べ物がつかえる、体重減少、胸やけなどの症状を有する方、ご家族に胃癌、ピロリ菌感染者がいる方はお気軽にご相談ください。

大腸の検査(大腸カメラ)

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は太さ13mmの内視鏡を肛門より挿入し、大腸にポリープ・腫瘍・炎症など異常がないかを直接観察する検査です。検査時間は通常15分から30分程度です。午後に検査を行っており、1日に6人から12人程行っています。

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)も上部消化管内視鏡(胃カメラ)同様眠り薬の使用が可能です。ご心配の方はご相談下さい。また、前述の拡大内視鏡検査や特殊光観察による精密検査も行っています。

万が一、検査で切除が必要なポリープ(大腸がんの前がん病変)が見つかった際は、その場で日帰り手術として内視鏡的切除術(コールドポリペクトミー)を行います。ポリープの大きさ、性状、患者様の状態によっては、後日内視鏡的切除術(大腸粘膜切除術)を1泊入院で行います。

便通の異常(下痢、便秘、便が細い)、便に血液が混じる、貧血、体重減少などの症状を有する方、ご家族に大腸癌がいる方はお気軽にご相談ください。

〇 大腸癌について

近年我が国における大腸癌の罹患者数は著しい増加を認めています。大腸癌は年間15万人ほどが罹患する最も多い悪性腫瘍です。40歳代から大腸癌死亡率、罹患率は上昇します。男性では11人に、女性では14人に1人は大腸癌になります。死亡数では、肺癌に次いで2番目に多い死因の癌です。しかし、大腸癌の多くは、大腸ポリープ(腺腫)から癌化します。このため、大腸ポリープ(良性)の段階で切除すれば治癒できますので、早期での内視鏡検査は非常に重要です。内視鏡検査を強くお勧めします。

胆管・胆嚢・膵臓の検査

近年増加傾向の膵癌はじめ胆嚢癌、胆管癌などの早期診断や治療を、口から特殊な内視鏡を挿入して行います。下記の内視鏡検査、処置は時間がかかるため眠り薬を使用します。

  1. 超音波内視鏡関連検査・処置内視鏡の先端に超音波装置を付け、食道や胃から壁内外の病変の観察、細胞採取を行います。また、同手技を用いてお腹の中の膿や胆管に胃(時に十二指腸)からステントを留置することも可能です。
  2. 内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)関連処置
    X線検査と組み合わせて胆管や膵管の検査、処置を行います。細胞を採取したり膿を抜くステントを留置したり結石を除去したりします。

低侵襲・臓器温存・縮小手術である内視鏡処置

当院では、多数の消化器内視鏡手術を行っております。お腹を開けずに、臓器を切除せずに癌の切除や結石除去、狭い所にステント留置など行います。
詳細は、消化器内科をご参照ください。

安全に対する取り組み

当院では、患者様が安心して内視鏡検査に臨んでいただけるよう、日本消化器内視鏡技師会消毒委員会が示すガイドラインをもとに内視鏡の洗浄を行っています。検査直後に用手洗浄後、高水準滅菌剤の過酢酸を使用し自動洗浄消毒装置にて内視鏡の洗浄・消毒を行い安全な検査を提供しています。また内視鏡検査中、誤認を防止するため「タイムアウト」を導入し、ご本人確認を行っています。何度もお名前を確認させていただきます。

こんな看護を提供します。

検査の中で、一番苦手な検査に内視鏡検査が上位に来ると想像します。内視鏡室スタッフ一同は、安心、安全にまた、少しでも緊張せずに検査、治療を受けて頂けるよう、笑顔で対応していきたいと考えています。

内視鏡室責任者:村木崇(消化器内科部長)