精神科ブログ
自殺予防のために職場ができること
大北医師会の第2回自殺対策事業講演会が松川村すずの音ホールで開催され、大北一円から開業の先生方、病院スタッフ、行政の方などの参加がありました。
前回はセイコーエプソンの統括産業医の小木曽先生の講演でしたが、今回はスウェーデンへの留学経験もある信州大学精神科のエース、杉山暢宏先生をお招きしました。
「自殺予防のために職場ができること」というタイトルでしたが、留学先のスウェーデンの写真や文化、体験の紹介とともに第一線の医師ができることを分かりやすく解説していただきました。

うつ病と自殺の関係に関しては諸説あり、その研究のため自殺ケースの心理的剖検などがおこなわれてきましたが、これは遺族にとっても辛いことで容易ではなかったようです。
しかし大学病院にも救命救急センターが整備されドクターヘリも配置されたこともあり救命ケースも増えて来ました。最近では自殺既遂のケースの心理的剖検に変わり、深刻な自殺企図例の奇跡的救命ケースの検討がおこなわれるようになってきているとのことでした。
また、豊富な文献紹介での世界の標準治療を示し、症例提示でうつ病の薬物療法、精神療法、特に初診時のポイントを示してくださいました。
きちんと診断し標準的治療、ガイドラインには従った上で困難症例にどう悩みながら立ち向かうかが精神科医の仕事ともおっしゃっていました。
うつ病治療の処方箋は長くても3行(抗うつ薬1種類、抗不安薬1種類、睡眠薬1種類)
単剤でシンプルな処方の美しさにもこだわっていらっしゃいるようです。