精神科ブログ

第2回 あずみ野精神疾患治療検討会~統合失調症編~

当院のスタッフ、近隣の向精神薬をもちいた治療に関わる病院やクリニックの医師や看護師、薬剤師、調剤薬局の薬剤師などを含めた多職種での勉強会が開催されました。
毎回、向精神薬を発売している複数の製薬会社様(グラクソ・スミソクライン、大塚製薬、第一三共製薬)にもご協力いただいています。

「うつ病治療」をテーマにした第1回に引き続き今回は「統合失調症治療」をテーマに開催。

最初は当院薬剤部の池川尚薬剤師の「DIEPSSを用いた統合失調症患者における薬物療法の検討」という発表でした。
池川薬剤師は最近はクロザピンによる治療でも活躍しています。

DIEPSS(Drug-Induced Extrapyramidal Symptoms
Scale、薬原性錐体外路症状評価尺度)を抗精神病薬を使用している入院患者について調べ、当院の抗精神病薬や抗コリン薬の使用状況を全国の状況と比較したものを発表しました。
当院ではまだまだ多剤併用の傾向があるみたいです。

DIPSSを使っていると錐体外路症状が見えるようになってきますね。

つづいて当院の中村敏範先生の「アリピプラゾールの使用経験」の発表でした。
中村敏範先生は村井病院での研修中にアリピプラゾール(エビリファイ)の使い方のコツをつかんだそうです。
エビリファイは日本で開発された新規の抗精神病薬でパーシャルドパミンアゴニストと(ドパミンシステムスタビライザー)いう作用機序をもつ薬です。

体重増加や代謝系の副作用も出にくくうまく使えるといいのですが、作用が容量依存的でなく、少量でアカシジア様症状がでやすいなどの癖がつよく使い方がやや難しいです。
使いこなせるようになりたいものですね。

今回も近隣のクリニックの先生や薬局の薬剤師さんの参加もあり盛り上がりました。
第3回のテーマは(おそらく)認知症です。
詳細が決まればまた発表します。

 

樋端Dr

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自殺予防のためのアルコール・薬物問題の理解と援助

当院の古屋昌宏医師が、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生の講演を聞きに行った内容の伝達講習会がありました。
院内だけではなく地域の保健医療福祉の関係スタッフも含めての勉強会としたところ大勢の参加者がありました。
講演の録音を聞き込み、ギャグやネタ、口調まで松本先生になりきった古屋医師は大ウケでした。
(古屋先生、最高です。診察室でも松本先生モードになってしまっていたそうです。)
3時間の講演を1時間にまとめたため、かなりの早口でしたがやはり一時間では終わりませんでした。

今回は自殺予防、特に「うつとアルコール依存症」がメインの内容でした。

うつ病はアルコール依存症のリスクであり、アルコール依存症は自殺を促します。
眠れなかったり悩みがあるときに飲酒してしまうと、さまざまな悪循環が生まれます。
そして希死念慮が浮かんだ瞬間に自殺を既遂してしまうそうです。
アルコールの問題は常に意識して置かなければいけません。

その他に

「死にたい」には傾聴を~マイ人生哲学はいらない~
「死んではいけない」はいけない。
「死なない」約束をむすぶ。(次回の面接予約とセットで)
「底付きとは援助の中で体験するもの」
「支援資源に確実につなぐ」
「自傷しないことよりも援助関係が続くことが大事」
「問題の解決を援助する」
「距離をとれ」ではなく「チームを組め!」

などなどのわかりやすいキーフレーズでたくさんの気づきがありました。
皆がゲートキーパーとなり地域にさまざまなサポート体制とネットワークを作っていかなければいけませんね。
 

(樋端Dr)

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退院調整伝達講習

今回精神科認定看護師(退院調整)取得のため、研修に参加させていただきました。
基本的な退院調整看護師の役割をはじめ多職種との連携や多職種の仕事や役割を学びました。
そして、入院生活から地域生活への移行や地域で暮らすための地域定着支援について改めて考える機会となりました。
それについて今回伝達講習の機会を頂き、退院調整について話させて頂きました。
今回は、退院調整の導入くらいしかお話しできず、またこういった機会ははじめてで、うまく伝えられなかったのではないかと感じています。
退院調整と地域連携はまだまだ知ってもらいたいことが多くあります。その伝達をこれからも続けていきたいと思います。
そして、話したことが患者さんひとりひとりと関わる中でイメージができるのではないでしょうか。

こういった活動に興味がある人は一緒に退院調整を考えていきましょう(*^^)v

(西澤Ns)

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精神科部門歓送迎会

出会いと別れの季節である。
木の芽時を前に不安定になる患者さんも多く精神科部門は最も忙しい時期を迎える。
そんななか池田町の料亭「光悦」で精神科部門の歓送迎会が開催された。

退職者の挨拶と上司からの一言があり花束が贈呈されたが、定年退職となったベテランの二人はしばらく延長勤務をしてくれるそうだ。
他の部署や病棟に移動する人の挨拶もあったが小さな病院であり今後も一緒に仕事をする機会も多いだろう。
その後、各部署の代表からの一言や、結婚などのサプライズ報告、それから4月からの新師長と新主任の挨拶などもあった。


 「最高の病院、最高の病棟にしましょう」と挨拶する新主任(労組書記長でもある)と「精神科医療はチーム医療です」と挨拶するすっかり出来上がった新師長。
 

(樋端Dr)
 

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今年度最後の部門会議

精神科医療はチーム医療であり多くの職種がかかわります。
精神科部門では月に一度、勤務者以外の参加できるスタッフ全員が集まる部門会議があります。
今年度最後の部門会議であり各パートの総括と来年度の計画が話し合われました。
人事や診療報酬改訂への対応、相談支援体制の強化、ARP(アルコールリハビリテーションプログラム)の刷新、アウトリーチチームの新設、認知症疾患医療センター事業の強化、退院後訪問、家族会などなど来年度も計画が目白押しです。
その後、東京アルコール総合センター(成増厚生病院)へ研修に行った関川主任からの伝達講習がありました。
自助グループも豊富で背景人口の多さから同質の患者さんを集められる都市部の病院の方法論をそのまま使うことはできませんが、旧久里浜式治療プログラムや多職種による多面的アプローチなど参考になる点がたくさんありました。
当院ならではのARPに活かしていければと思います。

(樋端Dr)
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北信病院から久保田先生が研修に来てくれました。

昨年来てくれた三瀬先生に引き続き北信総合病院から初期研修医の久保田先生が1ヶ月間精神科の研修に来てくれました。

「安曇総合病院での一カ月の精神科研修は短くて、あっという間に過ぎました。一番の感想は「面白いけど怖い」です。
学生時代に大学病院、精神科単科の病院2件と計3件の精神科の施設に行ってきましたが、市中総合病院の精神科は初めてでした。特別充実していることもあるのでしょうが、患者一人一人にここまで関われる病院というのは驚きでした。自分が患者になったら入院したいと思える程でした。
精神科自体は奥が深すぎて、難しいと感じました。他科の診療と異なり、病気と治療のバリエーションが余りに多すぎて、複雑だと思いました。
何より難しいと思ったのは「問診」でした。本人が抱えている問題を系統立てて整理しながら、傾聴もする・・・それを一人一人に合わせていく・・・そしてそれが患者自身の治療につながっていく・・・裏を返せば医療者の技量により、患者の治療が大きく変わるとも見られます。教科書通りにはいかない、そういう点には怖さを感じさせられました。ただ自分自身が最高に近い治療を見出せれば、人の人生を後ろから支えることができるやりがいも感じられました。最初に村田先生から伺った「バランス」が色々な意味で重要な科だとつくづく感じながら過ごしていました。
先生方や看護師さん、OTさん、心理の方や薬剤師の方、事務の方等々多くの人に助けられて充実して楽しい1カ月でもありました。ここで学んだ「問診の重要性」を心に刻み、日常の診療に精進していきたいと思います。本当にありがとうございました。」
2012.8.3久保田大輔
 
いろいろ興味を持って熱心に頑張ってくれました。ご活躍期待しています。

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作業療法の実習終了しました。

当院には作業療法の学生さんも実習に来てくれます。
「精神科OT実習生の川口です。6月から7週間お世話になりました。
初めての精神科の実習だったので、わからない事が多く勉強不足であった点が多くありました。
それでも実習中はたくさんの患者さん達と出会い、患者さんが優しく接してくれたり、一緒に話したり作業をすることで本当に楽しい時間を過ごすことができました。
患者さんに何かしあげられる事はほとんどなかったと思いますが、私は患者さんから多くの事を学び、貴重な時間を過ごす事ができました。
精神科OTの勉強も先生方が熱心に教えてくれたため、難しいと感じる一方で興味深いなあと強く思いました。悩んだり辛かったり、寝不足になる事もありましたが、安曇総合病院で実習できて本当によかったと思いました。
病棟のスタッフの方々、OTの先生方、そして患者さん達にとても感謝しています。
ありがとうございました!」

 
おつかれさまでした〜(^^)。最終日はmECTの見学もできました。

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屋上の野菜たち

作業療法の園芸グループで育てている作業療法室前のテラスの野菜たちがグングン育っています。
そろそろ収穫もできそうです。
 緑のカーテンは間に合っていませんが・・・(^_^;)
本格的な屋上緑化は消防や構造上、無理だそうですが、年を追うごとにプランターや植木鉢が増えて賑やかになっています。
 
病院の周囲が花や緑でいっぱいになるといいですね。

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池田町認知症の介護者家族交流会

7月13日午後に、池田町「やすらぎ」で介護者家族交流会が開催されました。
池田町地域包括支援センター、池田町にある様々な介護保険事業所とともに安曇総合病院認知症疾患医療センターの合同での開催です。
今回は認知症にまつわる寸劇も企画しました。

練習の様子です。
打ち合わせを含めてわずか2回の事前準備ですが、ベースとなる脚本にさまざまなアドリブも加わり練習にも熱が入ります。

本番の様子です。
普段、認知症の方と接しているだけに実にリアルな演技で観客に受けていました。
安曇総合病院の初期研修医の宮内先生も医師役として出演しました。

寸劇のあとミニ講演会、介護経験者のお話があり、参加者の交流会が開催されました。
介護者、事業所や病院の支援者がお互いの経験などを語り合います。
こういう集まりに出てこられる人はまだよいのでしょうが、出て来られない介護者(特に男性介護者)が心配です。
 このような会が定期的に開催され、だれでも気軽に参加できるようになれば素晴らしいと思います。
安曇総合病院認知症疾患医療センターもバックアップして大北や安曇野市の他の地域でもこの様な企画が持ち回りで開催していきたいものです。

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レトロな新聞受け

メンタルケアセンターです。
メンタルケアセンターあずみ デイケア・ショートケア利用のSさんが新聞受けを二つ作ってくれました。
一つはメンタルケアセンターの玄関先に。

一つは事務棟入口に。

「昭和」のレトロな雰囲気を出すために、塗装や仕上げの細部にこだわって作製してくださいました。
入口の雰囲気がとても素敵に変わりました。

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夏の病棟コンサート

夏の夕方、恒例の病棟コンサートが開催されました。
音楽療法士(プロです)の大日方さんと、楽団にも所属する鬼頭医師のプロ顔負けの演奏。
 
チェロのクラッシックソロや、誰もが知っている懐メロ(川の流れのように)などの曲に聞き入ります。

「風になりたい」や「花」など皆の知っている歌を歌います。
楽器がひけるのは素敵ですね〜。
スタッフのもてる癒しの力を総動員して患者さんたちを元気にします。

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急変対応

精神科病棟でも窒息や急変などで心肺停止をきたすことがあります。
身体合併症を持つ患者さんも多く見ている当院ではなおさらです。
急変時には一刻も早い対応が必要ですが慌てずに対応できるようにときどき練習をしています。
MEさんに来てもらって人工呼吸器の使い方の説明を受けたり蘇生の一連の流れを確認したりしました。
精神科でも医師や看護師はICLS(救急蘇生のコース)を受講することが勧められています。
また院内では全職員対象のBLSのコースも開催されています。

(樋端Dr)
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第3回あずみ野精神疾患治療検討会

第3回あずみ野精神疾患治療検討会が開催されました。
うつ病編、統合失調症編にひきつづき、今回は認知症編でした。
病院内の多職種、調剤薬局の薬剤師さん、近隣の開業医さんたちの参加がありました。

まず当院の中村伸治先生が、認知症についてのトピックスの話がありました。
・認知症は過去のデーターよりも多いかもしれないということ。
・新たにでた認知症治療薬をどのように使うべきかということ。
・認知症疾患医療センターの役割。国の政策。
・飲酒と認知症の問題、養子親子問題。
などの話でした。
ついで信州大学の鬼頭先生のNIRS(ニールス、光トポグラフィ)を用いたアルツハイマー病とうつ病の鑑別の話題でした。
NIRSの仕組みから研究の実際までわかりやすくお話いただきました。
 
NIRSは遠赤外線をつかって頭蓋外からタスクに対する脳の血流の増加をみる検査です。
日本で開発されたため日本での研究が多く研究もすすんでいるそうです。
最近NHKなどの番組で紹介されたことで一般にも注目をあつめています。
先進医療としてうつ病、双極性障害、統合失調症の鑑別の補助にたいして保険適応がなされました。
しかし、やっている医療機関はどこもパンク状態のようです。
信州大学にも機械はあり、問い合わせもあるようですがまだ研究用にしかつかわれていないそうです。
鬼頭先生らの研究では、タスクに対して健常者とアルツハイマー型認知症の方は前頭葉の血流は増加し、うつ病の方は増加しなかったそうです。一方でタスクに対して頭頂葉の血流はどの群も変化がなかったそうです。
将来的には高齢者のアルツハイマー型認知症の初期とうつ病の鑑別補助に応用できるようになるのでしょうか?

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初期研修医、佐野先生の感想


(ケースカンファレンスで発表する佐野先生)
「段々と病棟の患者さんたちと仲良くなり,研修が面白くなってきたところでローテーションとなってしまい残念です。
短い期間ではありましたが、患者さんへの接し方・精神病理学の触りだけでなく、総合病院の精神科の立ち位置の厳しさも垣間見えました。指導医の先生とコミュニケーションも非常に図りやすい環境で、様々な疑問を相談できました。
いわゆる国家試験的な知識や用語だけでなく、うつ病や統合失調症の方の空気感であったり、PDD患者さんとの距離の取り方であったり、臨床的に重要なポイントを抑えることが出来たと思います。
外来から病棟、子供から老人まで幅広く診ることが出来、将来他科に進むことになった際にも、非常に役に立つ研修ができたと思います。」

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写真コンテスト

 外来棟2階のエレベータ前のホールで長厚労(長野厚生連の労働組合)の写真コンテストが開催されています。
精神科、心療内科の外来のすぐ近くです。

風景写真から人物まで1枚の写真にさまざまな物語がありますね。
患者さんも皆さん興味深そうにのぞいていかれます。

来院された際には、是非御覧になってくださいね。